misakoinSGの日記

From what I see and learn from Singapore…シンガポールで考えたこと徒然

星港便り第12回「新幹線にかける夢」

シンガポールから比べると国土もずっと広い日本が、南北に細長く伸びた島々の多様な自然に恵まれた顔を提供してくれるので、シンガポール人の日本への興味は尽きない。

 

 昨年3月に開業した北陸新幹線のおかげで、東京から金沢まで2時間半となった。カニの大好きなシンガポール人の知人が大喜びし、開設初日にわざわざ新幹線に乗るために渡日していた。

 途中駅の長野は、いわゆる「ストロー現象」で、東京ベースの企業の支店は遠のいてしまったが、逆に遠い金沢に新しく支社を開設した企業が、この1年間で50社に上るという。
 先日、シンガポールに来られた石川県知事の発言からも、その勢いを感じた。またシンガポールに初の地方銀行の支店が開設したのも、石川県からである。石川県は、一県のみならず日本海地域全体が、シンガポールをハブとする東南アジア地域に進出してくるのだという意気込みである。シンガポール一国では市場は小さい。対地域での攻めの姿勢が必然なのであろう。

 私はオリンピック、東京タワー、新幹線と3点セットで刷り込みされている世代の東京生まれの東京育ち。だから、新幹線開設には、上昇気流の匂いを感じるのである。
1  シンガポールとマレーシア両政府は7月19日に、今から10年後、2026年の開業を目指して高速鉄道建設の合意をした。クアラルンプールからシンガポールまで、たった90分で結ぶというのである。これが開通すれば、全線の95%はマレー半島、つまりマレーシアの国土を通過し、残りのたった5%がシンガポール国土、しかも多分それは地下を走行することになるのだろう。建設にかかるコストは、これでちょうど良い均衡になるのかもしれない。

ナショナル・パークが管理する「ジュロン・レーク・パークス」内に中国風と日本風の公園がある。この東側に新幹線のシンガポール側の終着駅が建設予定なので、この辺り一帯が再開発の予定になっている

ナショナル・パークが管理する「ジュロン・レーク・パークス」内に中国風と日本風の公園がある。この東側に新幹線のシンガポール側の終着駅が建設予定なので、この辺り一帯が再開発の予定になっている

シンガポールにおけるターミナル駅は、現在の市中繁華街とは一寸距離のある国境側の町、ジュロンに位置する。政府はいち早く10年後を見越して、再開発計画にとりかかっている。
 ジュロンの歴史ある二つの公園、ジャパン・ガーデンとチャイナ・ガーデンもまたこの再開発の対象らしい。この日本庭園は広大な敷地のなか、池もあれば、天皇両陛下が皇太子時代にお手植えされたシュロの木もある。これら歴史ある文化財を保全しながらも、新しい町づくりをしようとしている。市中へと通じる地下鉄建設をはじめ、今なお、次から次へと新しい都市計画に果敢に取り組むシンガポールに、われわれ日本人も大いにビジネス・チャンスを見いだしていくのである。
日本政府が7月22日にシンガポールで実施した「新幹線シンポジウム」は定員270名を超える集客があり、関心の高さがうかがわれた。臨場感あふれる運転のシミュレーション装置も

日本政府が7月22日にシンガポールで実施した「新幹線シンポジウム」は定員270名を超える集客があり、関心の高さがうかがわれた。臨場感あふれる運転のシミュレーション装置も